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ひとしきり感動して眠気を思い出したらしい弟妹を寝かしつけて、静かになった庭へ戻った。
そっと茎を持ち上げて花を覗き込んでいる帥仙の隣りに腰を下ろして、懐中電灯の明りを向けてやる。
白い花びらは、まるで自分で光っているように暗闇に浮かび上がった。
「綺麗なもんだな」
夜中だという理由以上に声をひそめて、帥仙が呟く。
聞き漏らすまいと頭を寄せて、褒め言葉に笑った。
「情緒があっていいだろう。」
思わず自慢気になった口を、人差し指が塞ぐ。
すぐ目の前で、帥仙が瞼を落としてくびを傾ける。
(はなびらの開く音がする。)
殆ど音にせずに口を開いた帥仙は、ぱき、ぱきりと華の開いていく微かな音を聞いていたのかもしれない。

オレには自分の心音しか聞こえなかった。
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