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8月末くらいに書いてた奴なので臨場感はない。
これの続き。

じきに9月になるというのに、グラウンド裏の蝉はしつこくまだ夏だと訴える。
 
「帥仙、…さん、」
 
妙な柄のシャツを小憎たらしい程着こなした天然パーマが、笑みの形に隻眼を細めて息切れするオレを見下ろしている。自分ひとり涼しい顔をして。
「…何。」
わざとらしく優しく囁くような低い声は、隠す気も無く完全に面白がっている。
一軍の練習場所からはぎりぎり隠してくれる壁は視界と同時に風も遮って、滴った汗がコンクリに染みを作った。
「も、…いーっ しょ、お願」
「駄目」
 
あたまがぐらぐらする。体内に篭った熱の逃げ場が無くて、体が軋む。
こんな目に遭うんだったら買い出しの荷物持ちを嫌がるんじゃなかった、大体暇を持て余して遊びに来たこのOBに預けられて、無事で済む筈が無かったのだ。
 
「はぁっ、…ぅ、も しぬ」
「勝手に潰れてんじゃねえよ」
「無理、 …限界、 っ!?」
 
文句を考えて気を紛らわすのも馬鹿馬鹿しくなって壁を握るように手をついたら、頭からコーラが降ってきた。
他人の頭に炭酸ぶちまけるとか正気の沙汰じゃない。発砲する液体が目に入ってめちゃくちゃ痛い。
 
「きもちいい?」
「阿呆っすかアンタ!なんてもんぶっ掛けんだ!」
 
腹の底から叫んでやりたいとこだけど、息切れした喉は掠れた悲鳴しか出せなくて、あーオレ持久力無いなとか思わされて。
 
「うわオレにも掛かった、お前コレ舐める?」
「冗談じゃねっスよ、元々アンタのっしょやアンタが舐めれば」
 
荷物持のお役御免をラッキーだと思う間も無く、オレは何でか知らんけどぴっかぴかに磨かれたブラッディオレンジのバイクの横でスクワットなんかやっていたわけで。
はじめにそれをべた褒めしてしまったからだろうか現状はと思えば、夏の陽光を反射する車体は嗤っているように感じた。
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