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こないだ10題ひっぱってきたVOIDさんからまた10題貰ってきました。

書いてるうちに気持ち悪いものが書きたくなってそのようにしたら、ほんとに気色悪いだけのまとまり無いものになりました。

中学生の間違って自分に酔ったポエムみたいな、っていうとできの悪さが伝わると思います。
そんなんで良かったら続きからどうぞ。

1. 地下への道

気がついたら踊り場に居た。振り返ると階段の上に空かなんかを切り取ったみたいに光ってる四角い穴があって、そっから視界をずらすと今度は黒い藻で覆われたみたいな真っ暗な空間に続く階段が下ってる。踊り場から伸びているくせにその先は螺旋になってうねり、降りていった先がずっと階段なのか部屋に出るのかすら判らない。
足が勝手に下の方へ踏み出して視界が回転し、上からの明かりが鈍くなったあたりで漸く夢だと自覚した。
建物の奇妙さやねっとり絡みつく空気が現実離れしていたからではない。
丁度死角になっていたところに屑桐が居て、笑って手を差し伸べたからだ。

屑桐とは、卒業してから会っていない。たまに噂話で名前は聞いたが、もうオレには関係の無い話だった。
それなのによくもまあこう鮮明に覚えているものだと、同じ速度で歩く横顔を眺めて感心した。
火傷跡。きつい目付き。赤い瞳。繋いでいた手を離して頬へ触れると、これまた覚えのある声でどうした、などと柔らかく尋ねてくる。やはり偽者は偽者だ。
こんな風に接して欲しいと思っていたのだろうか、だからこんな夢を見るのかと不思議に思う。
さして会話もしなかった。言ってしまえば同じ部活の同学年というだけの知り合いだ。

そんなに、好きだったのだろうか。


2. 肝試しスポット

階段を降りきった先は外だった。生暖かい風が吹いている。
地下に向かっていると勝手に思っていたのだが、そういえば始めに居た踊り場が建物の高いところだったとしたら、地上に出てもおかしくない。
降り返って今出てきた扉を確認しようかと思ったが、いつの間にかまた繋いでいた手をくいと引かれて諦めた。
夢特有のモヤの掛かった不明瞭な視界の中を、屑桐に手を引かれて歩く。まるで小さいこどもだ。
気付いたら屑桐はオレの右手を引いていて、左よりさらに視界の悪いそちら側をあんまりジロジロ伺うのもどうなんだと思ったので反対側へ首を向けて風景を見ていた。
見覚えのある道だ。深い池の底に沈んだみたいな暗さと歩きにくいほど重たい空気が無ければすぐに何処だかわかった筈なのだが、記憶の端に引っかかって「通った事がある」とわかる程度で、どうにも落ち着かない。
ぴりぴりと、右目が痛む。引き攣れるような感覚に右手を強く握ったら同じ強さで握り返されて、足が止まった。くずきりが、オレのなまえをよぶ。

「此処だ。おまえはまだこの辺に居るんだろう?」


3. その鐘が鳴るとき

目覚ましのベルで跳ね起きた。
頭が重い。全身嫌な汗をかいていて、内容は薄ぼんやりとしか覚えていないくせにやたら怖い夢だったと自覚する。
元部活仲間という設定の誰かに手を引かれて歩く、それだけだった気がするのだが一体何がそんなに恐ろしいのか。しかも誰だ、屑桐って。

カーテンを開くと嫌味なほどの快晴で、空からは血が滴っていた。傘がいる。
一度とめたはずの目覚ましがまた鳴り出して頭の内側を叩く。
誰かが名前を呼んでいるらしいのだが、ベルの音と重なってわんわん煩いだけで誰が呼ばれているのかも良くわからない。
ウルサイと怒鳴ると途端に音が消えた。サイレント映画のように自分の動く音も空気の動く音も聞こえない中で、静かなのをいい事に朝の支度をする。
顔を洗ったらなぜか洗面台が真っ赤になったし、そこかしこに錆びた匂いが嫌というほど立ち込めているのだが、きっと天気のせいだろう。
すべては何も問題ない。

学校へ行くつもりで玄関を開けたら、一面花畑だった。
ここは何処だ。 オレが"まだ"どこに居るって?


4. 庭の遊歩道

鞄を引っ掛けたままさくさくと花を踏む。
さっきの屑桐が後ろからついて来て何かを喋っているのだが、相変わらず音は遠く、オレはどこかにあるはずの学校へ向かっているので、あまり夢の住人に構っている場合ではないのだ。
「どっか行けよ」
足を止めずに振り返ってそう言ってみたのだが、生憎自分の声だって聞こえるわけが無かった。
屑桐は必死になって俺を捕まえようとしている。ちょっと怖い。 もしかしてさっきの夢が怖かったのも、こいつが怖い奴だからなのかもしれない。
「何なんだよお前」
オレは学校に向かっているんだ。朝練に間に合わなくなってしまう。
近道を思い出して脇道へ足を踏み入れた。
途端、ボンヤリしていた花畑が失せて見覚えのある遊歩道に出る。どこかの庭マニアが勝手に手を入れているらしい、学校近くの公園だ。本来なら学校側へは通り抜けできない筈だが、フェンスの破け目があって大通りへ出ることができるのを知っている。上手くすれば間に合うかもしれない。
気が軽くなって走ったが、フェンスの穴は塞がっていた。
思わず零した舌打ちが耳の奥で反響して頭痛を思い出す。それと同時にまた降り出した赤い液体で滑るフェンスに手をかけて、面倒くさいと言いながらよじ登った。
言った言葉はやっぱり頭蓋骨の中でわんわんと唸って、後ろから追いかけてきた屑桐がまた煩く何かを言っているのを遮る。
多分、やめろと言っているんだろう。オレだって好きでこんなものに登った訳じゃない。あの時だってそうだ。
「知るか。」
がなってやろうとしたのに、フェンスの上に張り出した木の枝に頭をぶつけて言葉を呑んだ。右側が物凄く痛い。熱い。眼球が溶けて落ちないように瞼を押さえて顔を上げると、あの時の枝が目に入った。全く同じ場所にソフトボールが引っかかっている。
左手を伸ばしたら、体が傾いた。ああそうか、右手は目に。


5. 今更に隠し部屋発見

フェンスから落ちて弾んだ先に引き戸があったので、道路の真ん中をぽんぽん跳ねているより良いかと思って中に入った。
うっかり手を離してしまったので右目がどこに行ったのかわからない。
部屋のガラス戸に手を着くと、赤い後がもみじのように残った。何故そんな小さいのかと思ったら、弾んでいる間に縮んだらしい。6才くらいだろうか。野球を始める前だ。
眺め回した自分の体にも、あちこち赤が染みていた。そういえば雨だった気がする。
左手に残ったボールをくるくると回してガラスの向こうの道路に赤が溜まっていくのを眺めていると、段々体が冷えてきてしまった。
どうして傘を持って出なかったのだろうか、降っているのは朝のうちに知っていたはずなのに。
「お前がうるさいから忘れたんじゃないか」
振り返って文句を言ってみたが、屑桐は聞いた様子もなく手を引こうとする。
「よごれるよ」
べったりと赤が移るのを見て離そうとしたが、最初に階段の下で見せたのと同じ顔で笑って―そうだ、どうしてそんな安心したみたいに笑う。
「いいんだ。」

手を引かれて行った先にあったのは扉で、開けると廊下に出た。少し歩くと、そこが見慣れた校舎の一角であるのがわかった。
学校内にあんなところに通じている扉があったとは知らなかった。しかし縮んだままでは授業は受けられない。

戻って目を探そう。


6. 迷子になりました

振りほどいて走り出したと思った途端、小さい背中が廊下の角を曲がって逃げていく画面に変わった。
左手に、べったりと移った赤。手を引いてきたのは屑桐だと思っていたのだが、どうやら自分だったらしい。
右目を探す小さい自分を探して歩き回ってみたが、さっき出てきたはずの扉は見当たらない。
視点の高さが普段どおりなのに気付いて教室へ行こうとしたが、今度は教室が見つからない。
疲れて体が重くなって、家に帰ろうかと思ったが、当然のように出口が見つからなかった。
奇跡的に保健室に辿り着いたのでベッドに潜り込み、うとうとしかけたところで頭を撫でる手に気付く。
「此処はどこだ。」
学校じゃなかったのか、と続けるつもりだったのだが、後は掠れて、それだけ言うのがやっとだった。
「病院だ、帥仙。気がついたのか?」
なんだ、やっぱり居たのか屑桐。


7. 陰に紛れて

瞼を閉じているのに周りの風景が見える、というのも夢の一種だろうか。
病室では暫く医者と親父が話をしていて、屑桐は大分経ってから入ってきた。
サイドボードに見舞いの品らしい果物を置いて、寝たまま動かない自分の頭を撫でていく。
そんな事してる場合じゃなかった気がするんだけど。


8. 大掃除しましょう

保健室のベッドから体を起こすと、辺りはむちゃくちゃになっていた。
棚がひっくり返って薬の袋が散らばり、子供の頭くらいある積み木が散乱している。
壁はひしゃげて床は波打ち、船酔いしたみたいに吐き気が襲ってきてよたよたと廊下へ逃げ出した。

出た先の廊下はもっと酷かった。どこかで見た覚えのあるガンプラやプラスチックのバットがそこかしこに巨大化して転がっていて、何歩か歩くごとにシーツを引っ張ったみたいに足元の廊下がぐしゃぐしゃと歪む。
子供用のグローブ。おもちゃの海賊旗。どれも錆びて欠けて元には戻らないものばかりだ。
きっと何かがまた駄目になったので迎えに来たんだろう、もしかして連れて行かれるのは自分かもしれない、そんな事を考え出したら、ふいに、足元に、迎えに来られたソレが見つかった。

ぺらり。

ひしゃげて潰れて空気の抜けた風船の内側にゼリーでも塗ったみたいな、それは目玉だ。
丁寧に拾い上げて「ごめん」と言ったら、手の中で溶けて崩れてしまった。
色はどこへ行ったのかと思うほど透明な雫が指の間からこぼれて落ちて、ぴしゃん、と音を立てたら周りのごみは跡形もなくなっていた。
ああそうか。

「もう野球できないんだオレ。」


9. 踊り場の光

気がついたら踊り場に居た。振り返ると黒い藻で覆われたみたいな真っ暗な空間に続く階段が下ってて、そっから視界をずらすと今度は階段の上に空かなんかを切り取ったみたいに光ってる四角い穴がある。
足が勝手に上の方へ踏み出して視界が明るくなり、無駄にやたらと長いその階段の丁度真ん中辺りに屑桐が座って待っていた。
「お前、下に居たんじゃなかったっけ」
「どちらでも構わん。外へ出る気になったのなら。」
差し出された手は取らずに自分の意思で残りの階段を上った。
やたらと体が重くて、切り取られた四角に辿り着く頃には疲れて眠くて、目を開けていられなかった。
倒れこんだ先がベッドの上で、その次に目を覚ました時もやっぱり病院のベッドの上だった。
サイドボードにつっぷして、屑桐が眠っていた。


10. 城壁には拒めない

「なんっか、スゲー長い夢見てた。」
「あれだけ眠っていたら夢の一つや二つは見るだろう。」

城壁のようにそびえる白い建物から漸く開放されて、慣れない眼帯の感覚を気にしながら欠伸交じりに歩く。
担ぎ込まれてから一番初めに意識が戻るまで丸二日も眠っていたと聞いての感想がそれだった。
実際の入院期間はそう長い間ではなかったらしい。
長くないと言っても交通事故で片目を潰した割には、という程度の長さなので、学校へ行ったら知らない扉の一つくらい増えていても俺は驚かない。開けてみようとは思わないが。
面倒な手続きを色々やった上、以後通院する事や当分部活に出られない事などさらに面倒な事も沢山ありはしたが、とりあえず体力が戻れば趣味程度の野球はやってかまわないとの事だったので大抵の事はどうでも良くなってしまった。元から、野球さえあれば大抵の事はどうでもいいのだ。
毎日見舞いに来ていたらしい屑桐はその態度を非難したが、そういえば一つ、どうしても確認しておかなければいけない事があったのを思い出して正面から向かい合った。
「ところでさ、」
火傷跡。きつい目付き。赤い瞳。まっすぐこちらを射抜く視線は夢で見たより強烈で力強い。でも。


「お前、誰?」

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